【中学受験】効果的な過去問の取り組み方 徹底解説

勉強法と親の関わり方

過去問で点数がとれないけど、このままで大丈夫?

小学六年生は9月になり、そろそろ過去問に取り組み始めていると思います。

入試本番までまだ4か月以上あります。まだまだ実力はこれから飛躍的に伸びていきますので、この時期は過去問で合格最低点を取れなくても、焦る必要はありません。

しかし、せっかく過去問を解いても、取り組み方を間違ってしまうと効果が薄れてしまいます。

というか、むしろ時間の無駄に終わってしまうといっても過言ではありません。

「過去問の取り組み方がいまひとつよくわからない」

「過去問で点数が取れなくて不安。このままで大丈夫かな?」

という親御さんのために、成果をあげるための過去問への取り組み方について徹底解説します。

そもそもどの学校をいつ頃から何年分解けばよい?

一般的によく言われるのは下記のような感じです。

実施校実施ボリューム実施時期
第1志望校(チャレンジ校)5年10月~1月
第2志望校(実力相応校・本命)5年10月~1月
第3志望校(実力相応校)3年9月~1月
第4志望校(安全校)1年~2年分9月、12月~1月
第5志望校(安全校)1年~2年分9月、12月~1月

何校受験するかにもよりますが、沢山やれば良いというわけではありません。

上記はあくまで目安となりますので、後述する正しいやり方でしっかりできる範囲で実施されれば良いと思います。量より質です。決して無理は禁物です。

どの学校も問題は古い年度から行います。

古ければ古いほどテキスト等に典型題として似たような問題が取り上げられていることが多く、比較的解きやすいと思われるからです。

9月のスタート時は、偏差値に余裕のある「安全校」から開始して、ウォームアップすることをお勧めします。

合格最低点以上を取れれば自信もつきますし、解き直しにも時間がかからなければ、他の学習に力を入れることができます。

徐々にステップアップするやり方の方がスムーズです。

逆に第一志望から解いていくと、得点は取りにくいと思いますが、早く開始する分対策にじっくりと時間をかけられるというメリットもあります。

勝ち気なお子さんであれば闘志がわいてきて、ものすごいやる気を出すことも考えられます。

ただし、大きく合格最低点を下回る点数だった場合は、受験に対するモチベーションを大きく損なう恐れもありますので、慎重な判断が必要です。

お子様の性格・モチベーションと志望校に対する学力の到達度、他の課題との兼ね合い等を考慮したうえで、塾の先生とも相談して決めることをお勧めします。

各学校の直近年度分は直前期に実施するペースでOKです。

1月は模試がないので、直前期の実力は過去問の直近年度分で測ります。

これまでの対策でどのくらい効果が上がっているか親御さんの目線で測ってみてください。

併願校含めた受験校の最終判断を下す材料にしてください。

ただし、お子様にとっての第一志望校があるのなら、もちろんその学校は必ず受験しましょう。

 過去問に取り組む目的をしっかり意識する

合格するために過去問に取り組むわけですが、解いて採点して合格最低点に届いたかどうかで、一喜一憂しがちです。

それだけで終わってしまうと、ほとんど取り組む意味がありません。現時点で、その学校に合格できそうかどうかを測っているだけだからです。

大切なのは、入試本番までにどのような対策をすれば、効率よく、現時点の実力から合格点を勝ちとる実力をつけることができるかどうか、出題形式や時間配分などの慣れてどれだけ得点力をあげることができるかどうかです。

ずばり、過去問に取り組む目的は下記4点です。当たり前のように感じますが、この4点を意識してきちんと取り組めているかが大切です。


  1. 過去問を解くことで、出題傾向を把握する。
  2. どのレベルの問題まで解ければ、合格点に届くか把握する。
  3. 出題形式や時間配分の学校による違いを体感する。
  4. 1、2、3を踏まえて、合格点を取るために、何がどう足りないかを具体的に把握して対策を行う。

4.がきちんとできるかどうかが勝負です。

1.過去問を解くことで、出題傾向を把握する。

過去問を実際に解くことで、記述式が多いか少ないか、問題量が多いか少ないか、難易度はどのくらいか、どの分野・単元から多く出題されているかなどを把握することができます。

下記の記事でもふれたように、処理能力勝負なのか、思考力勝負なのか、どの分野・単元が頻出なのかをまず把握することが大切です。

【中学受験】過去問分析・対策の考え方 ~問題との相性が合否に直結~

つまり、勝負に勝つためにはまず敵を知ることが必要だからです。

2.どのレベルの問題まで解ければ、合格点に届くか把握する。

まず解き始める前に、基本的には解く順番を決めていると思います。模試も本番も同様の方法で行います。

塾の指導にもよるかと思いますが、一般的には下記の方法で分類してから問題に手をつけていきます。

①問題を「〇」「△」「×」の3つにざっくり分類する。

「〇」・・・簡単・確実にできそうな問題。

「△」・・・頑張れば解けるかもしれない問題。時間をかければ解けそうな問題。

「×」・・・難しく、全く手が出なそうな問題。

②「〇」→「△」→「×」の順番で解いていく。

「△」の問題で時間が足りなくなりそうなときは、延長して全部解いてしまっても良いです。(どこまで理解できているのか、解けるのかを見極めるため。直前期はできるだけ時間で切りますが、11月くらいまでは延長しても良いと思います)

③採点して、「〇」「△」で、間違えた問題について解きなおしを行う。

解きなおしノートを作成すると良いでしょう。ノートに解きなおしを行い、間違えた原因分析と対策についても記載しておきます。

ここが一番重要で、ちゃんと行えば実力が伸びるところです。

この点については、詳しく下記4.で説明します。

「〇」+「△」(間違えた問題含む)で、合格者最低点に届いていない場合は、「〇」「△」の問題は全部正解にして、さらに「×」の問題もできないと突破できないレベルにあるということですので、実施時期をもう少し後ろにずらしたほうが良いかも知れません。

どのレベルまで解けているかを把握したうえで、志望校合格ラインまでの距離感を図ってください。

合格最低点を取れていなくても心配ありません。

親御さんの不安は子供に伝わってしまいますので、心配だとしても役者に徹して、お子様を励まし続けていきましょう。

「×」の問題の解きなおしは非常に時間がかかると思いますので、一旦解説と回答を確認する程度に留めてもOKです。

④解きなおしした問題を1か月~2か月後にもう1回解いてみる。

解けなかった場合は、再度、原因分析と対策を施して、さらに直前期に解きなおします。

4.1、2、3を踏まえて、合格点を取るために、何がどう足りないかを具体的に把握して対策を行う。

処理能力型の入試に対応するためには、標準的な典型題といわれる問題を正確に速く解く訓練を実施していきます。

思考力型の入試に対応するためには、応用問題を中心に、じっくりと時間をかけて解く訓練をしていきます。

これは志望校と出題傾向が似ていて、偏差値が近い他校の過去問をやるのが効率的です。

併願校であればその過去問を実施することで訓練できます。

なので併願校はできるだけ出題傾向が似ている学校を選ぶことで、効率化を図れます。

頻出分野については、出題傾向があまり変化していない学校であれば、5年分くらいの過去問を解きながら間違えた問題の解きなおしを行うことでかなり対応できます。

この時、間違えた問題の間違えた理由を具体的に考えてください。

ケアレスミスであれば、計算時の繰り上げミスとか、転記ミスとか、具体的な理由まで踏み込むことです。

あとは捨て問だったのか、時間があれば解けたのか、思い出せずに間違えたのか、全く知らなくて書けなかったのかなどの具体的な原因を明確にしていきます。

そしてそれぞれの理由に対して対策を本人にまず考えさせてください。

そして親御さんと相談して最終的な対策を決めて、解きなおしノートにそこまできちんと記録を残してください。

例えば、思い出せなかったのであれば、知識がきちんと定着していなかったということですから、次は正確に引き出せるように該当分野を復習して定着を図ること、といった感じです。

あとはその復習する分野をどこまで横展開して対応するかですが、これは時間を取られますので、時間とも相談して優先順位を見極めながらの対応となります。

いずれにせよ頻出分野であれば、きちんと広めに復習しておくことが望ましいです。

なお、捨て問(その問題が解けなくても合格点に届くような難問や時間がかかる問題)については、あまり時間をかけずに、答えを見てこうすれば良かったんだといった程度に理解しておけば十分と思います。

このやり方は、過去問演習に限らず、模試の復習も同様の考え方で行います。

四谷大塚 合不合判定テストの活用方法(1)

四谷大塚 合不合判定テストの活用方法(2)

ただし、この原因分析と対策を自分たちでどうしてもできないという場合は、個別指導や家庭教師を活用することを検討しても良いかもしれません。

もし家庭教師を頼むのであれば、できれば学生バイトではなく、中学受験のプロ家庭教師に依頼しましょう。

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では、実際にどのように取り組んでいくか説明します。

具体的な取り組み方

過去問実施計画を作成する

解く順番を決めたら、具体的な実施計画を作成します。

意外にまとまった時間が取れる日程が少ないことに気がつきますし、併願校が多いと全てを実施する計画を立てることが難しいかもしれません。

学校を減らすか、年度を減らすかですが、併願校を減らすことができなければ実施年度を減らすしかありません。

できれば予備日をもうけておき、併願校が追加・変更になったり、出来の悪かった学校・年度の2回目を実施することができるようにしておきたいところです。

解答用紙は実寸大にコピーする

赤本の解答用紙は、ほとんどが縮小されています。

国語のマス目のない記述問題や、算数の解答欄におさまるように解答する必要があるため、実際の紙の大きさで練習する必要があります。

解答用紙は必ず実寸大に拡大コピーして実施してください。

問題用紙もできるだけ本番の形に近づけるため、四谷大塚の過去問データベースから印刷して行うと良いでしょう。ただし国語は著作権の関係でないものが多いのでご注意下さい。

四谷大塚 過去問データベース

コピーはまとめてコンビニでも可能ですが、家庭にA3対応複合プリンターがあるとかなり便利です。

どのプリンターにすれば良いか分からない方のために、プリンターについては別途記事にまとめます。

できるだけ実際の試験時間、順番で解く

できるだけ実戦に近い状況で実施することも大切です。

全部は無理かと思いますが、実際の受験実施時刻・時間、受験する科目順を本番と合わせて実施します。

時間は親御さんが試験官代りになって計ってあげて下さい。11月くらいまでは、時間内でできたところまで印をつけて、解けそうな問題がある場合は、時間を延長して解いてしまっても構いません。

あとは、できるだけ静かに集中できる環境で実施しましょう。TVの音や会話が聞こえる場所は避けましょう。

また、疲れているときや体調が優れないときは、無理しないで自習や休憩に切り替えましょう。

解き直しと原因分析・対策を行う

採点は、本人でも親御さんでも良いのですが、本人が行うと甘めになってしまう場合は、親御さんがやってあげてください。

当日必ず記憶があたらしいうちに採点と上述したやり方で解き直しを行って下さい。

きちんと原因分析して、対策を考えて決めるまでは最低当日に行って下さい。

定着できていなかった分野の復習などの実際の対策は後日でも構いませんが、できるだけ当日できるところまでやっておきましょう。

まとめ

合格最低点に届いていなくても気にしすぎないことです。

この時期、焦るのが一番よくありません。

じっくりとやるべきことに淡々と取り組んでいきましょう。

同じ学校の過去問題を複数回解くことで、時間配分や問題に取り組む順序や取捨選択など、模試などでは測ることのできない志望校に対する実戦力を養うことができます。

また、学校が求めている力がどのようなものかがわかるので、普段の学習を行う上で最初・最後に解くべき問題がどれなのか、解く時間がかかりすぎていないか、見直しの時間がどのくらい必要なのかなど入試本番に必要なことを意識することができます。

入試問題は易しい順番に並んでいるとは限りません。途中の問題で予想外に時間がかかってしまい、最後まで解き終わらないこともあると思います。

このような経験と修正を重ねて徐々に時間内に終わらせるためのスピードや正確な解答力が培われていきます。

最初のうちはお子さんのペースを見守り、必要なアドバイスを与えていきながらお子さんの成長をみていくようにしましょう。

時間配分ができるようになれば見直しの時間が取れるようにペースを作ることを、働きかけていきましょう。

【中学受験】過去問分析・対策の考え方 ~問題との相性が合否に直結~

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